ビビり直し:縮毛矯正料金+¥5000まで
(範囲によります。特殊技術のため学割はありませんが、根元の縮毛矯正などと合わせ注文の場合はこれ以上は頂きません。また、ビビりの程度により、必ず直せるとお約束できるものではありません。事前のLINE相談も承ります。ご相談だけなら無料)
ヘアカラーなどで傷んでしまった髪や、既に矯正歴のある毛先のダメージ部分に強い薬剤や昔ならではのアルカリ剤を塗ってしまうとアイロンの入れ方に関係なく髪が縮れます。特に昔ならではのpHの高い薬剤は要注意です。しかしノンアルカリ剤(スピエラやGMT)は習得が難しくて施術に時間も手間もかかるため「傷むけど簡単な昔の薬剤」に回帰する美容室が多く、専門店と名乗る店までその傾向が及んでいます。
試しに抜けた髪などを強く引っ張ってみてください。チリチリに縮れるはずです。薬剤に反応している髪はこの現象がさらに起こりやすくなっており、まして温度の高いアイロンで挟み、力強く引っ張ればビビり毛が発生する失敗確率はぐんと上がります。上手な美容師は力を入れて引っ張ったりはしません。
30代後半あたりから、生え際の髪が特に弱くなります。白髪染めまで施されていると通常のアルカリ剤ではほとんど成功は望めず、安全なはずのスピエラやGMTでさえ濃度設計や施術を慎重に行わないとビビる可能性があります。こういった弱い髪やダメージヘアをキレイにに伸ばすのには、美容師にかなりの知識と実力が必要です。
一見、縮毛矯正の技術自体はカットと比べると誰でもできそうなものに見えますが現実は真逆なのです。薬剤濃度の判断、乾かし方の判断、アイロンの入れ方、温度、何かひとつ合わないだけでも失敗するのが縮毛矯正です。しかもお客様全員が髪質が違うだけでなく、一人のお客様だけでも前髪と襟足は違う髪質であるように数種類の髪質が混在し、根元が健康で毛先が傷んでいるといった風に状態も複数種類です。それらすべてを計算して判断しなければ失敗に繋がり良い縮毛矯正はできません。
実験用に作ったビビり毛のウィッグですが、さすがに今どき、縮毛矯正が苦手な美容室でもここまで酷い失敗はなかなか無いと思います。ちょっとやりすぎたかも・・・
まるで焼けた様な縮れ方ですが、アルカリと熱で髪が変性してしまうとこんな感じになります。ダメージは回復しませんが、見た目だけでもまっすぐにできないか、を試みます。
髪の内部組織が壊れている状態なので前処理トリートメントを髪の内部に補給します。
ナンバースリー社のタンニンブリッジを使用しました。
1剤を塗布します。スピエラとGMTを使用しました。ただし、比率は通常とは全く違う調合にしています。
約7分放置しました。そんな短時間で薬剤が乾燥するわけでもないですし、加温なんて当然しませんし、ウィッグには体温もないのでラップで巻く必要は無かった気がするのですが、そこはなんとなく習慣です。
1剤を洗い流した状態です。濡れている状態ではまるでビビりが無くなったかの様に見えますが、それは髪が水分を吸収してそう見えるだけで、今の段階では1剤が反応したにすぎません。
乾かせば結局この通りです。アイロン操作前ですから、水分が残りすぎていては危険ですし、かといってカラカラに乾かし過ぎても良くありません。
1剤を洗い流して乾かしただけでは、まだ何も解決されていません。アイロンでビビった髪ですがアイロン操作なしに修正する方法は思い当たりません。当然、的確な温度設定とデリケートなアイロン操作が必要です。
アイロン操作の開始です。決して引っ張ってはなりません。そんなことをすれば余計にビビります。アイロンにはコツが必要ですが、そこは慣れるしかないと思います。温度は150℃に設定しました。
アイロンを入れ終わった状態はこの様につるっとなりますが、定着後もこの状態が必ず維持されるわけではありません。
定着剤を使用します。定着剤には過酸化水素水を使用しました。この時も髪を引っ張らない様、丁寧に塗布します。
毛先しか施術していませんので、毛先だけに塗布しています。念のため約15分放置しました。
さて、ドライイングしてみました。あの恐ろしいビビりは一体どうなったでしょうか??
パッと見た感じでも改善は出来ている様子です。
ここまで酷いビビりが完全に直るはずもなく毛先までピシッとまっすぐに回復できるわけではありませんが、チリチリはほぼ解決できたようです。
バックからの写真です。毛先にも枝毛の様なダメージは残ってしまいました。この時点ではこれで限界でした。 写真をクリックしていただければ拡大が可能です。
beforeとafterを並べてみました。比較してご覧ください。 ただ施術後も気を付けて扱わないと、少し強く引っ張ればまた縮れが復活してしまう恐れはあります。
弱酸性の薬剤が開発されて以来紆余曲折しながらもノンアルカリ縮毛矯正は進化してきました。しかしまだまだ進化の余地はあり、研究は続きます。実際にビビり直しをした映像も併せてごらんください。